知っているようで意外と知らない、メイク上手になるための3原則

最新刊『何歳からでも輝ける秘訣』の重版も決定し、ますます注目を集める藤原美智子のメイクセオリー。今回は、意外と見過ごされがちな「メイク上手になるための3原則」について聞きました。

顔の向きは常に正面。パーツごとに鏡を使い分けて

――美智子さんは著書の中で「顔の向き」「光を捉える角度」「力加減」の3つが「メイク上手になるための基本」だと書かれています。知っているつもりで知らなかったことばかりです。

この3つの基本は、これまでに講演や著書の中で繰り返しお伝えしてきたことで、歴代のアシスタントにも常々アドバイスしてきた持論なの。流行や年齢に関わらず知っておいてほしいメイクの「基本のき」なのだけれど、メディアではあまり取り上げられることがないので、意外と知らない人が多いのかもしれないですね。だからこそ、折に触れて伝えていくことが自分の使命だとも思っているの。

――まずはメイクをするときの「顔の向き」から教えてください。

顔は鏡に対して常に正面に向けることが大事。自分では正面を向いているつもりでも無意識に顔を傾けてしまう人がとても多いの。よくあるのが、右の眉を描くときは鏡に対して顔の右側を、左側の眉を描くときは左側を向けてしまうパターン。これだと左右の眉の形を揃えるのはとても難しくなってしまうの。

――鏡の使い分けも重要だそうですね。

できれば手鏡と顔全体が映る大きめの鏡、両方あるといいですね。というのも、手鏡だけだと顔全体が見えないのでどうしてもメイクが濃くなってしまうの。特に眉は手鏡を見ながら描くと、ひじが曲がってしまって余計な力が入ってしまいがち。手鏡を使うのはアイラインやマスカラ、リップだけ。それ以外は大きな鏡を見ながらメイクをすると腕や指の力が自然と抜けて、ナチュラルに仕上がります。

光を正面から受けられるように、メイク台は窓側に向ける

――次は「光を捉える角度」です。

顔の左右や上から光が当ると影ができて、濃さの加減がわからなくなってしまうので、顔の向きと同じように、光も顔の正面から受けることが大事。メイク台を窓に向けて置くと、正面から自然光が当たるので濃さも左右のバランスも調整しやすいと思います。それが難しい場合は、手鏡を持って光の方向を向いてメイクしたり、メイク後に必ず自然光でメイクの濃さを確認するようにしてくださいね。

――光の角度1つで見え方が変わるんですね。

そうなの。「光は正面から」ということを覚えておくと、いろいろな場面で役立ちます。例えば、オンラインミーティングの時、サイドから光が当たるようにデスクを置くと、ほうれい線やシワ、クマが目立つし、暗く見えたりして、実際よりも老けて見えてしまうの。だから、メイク台と同じようにデスクは窓側に向けて置くのがおすすめ。この「光は正面から」は私にとっても必須のことなの(笑)。写真を撮るときにも立ち位置を工夫すると、きれいに映りますよ。

力を抜けば抜くほど、ナチュラルで透明感のあるメイクに

――3つ目は「力加減」。美智子さんは常々「メイクをするときは力を抜いて」とアドバイスされています。

メイクを語るときによく「ナチュラル」や「透明感」というキーワードが出てくるけれど、それは単なるニュアンスではなくて、実はとても具体的なテクニックなの。顔の向き、光の角度はもちろん、指や手首の力加減を抜けば抜くほど、ナチュラルで透明感のあるメイクになると覚えておいてくださいね。

――メイクがうまくいかないときは、無意識に力が入っているのかもしれないですね。


メイクって意外とその時々の心情が現れるものなんですよね。忙しかったり投げやりになってる時は繊細さが失われて雑なメイクになったり、頑張り過ぎたり攻撃的になっている時は力が入って濃いメイクになったり。そうした自分の心情はメイクをしているときの力加減を見れば分かるんですよ。

――どういったところでわかるのですか?


例えば、眉を描くときにひとさし指の第一関節が曲がっていれば力が抜けている証拠。逆に、まっすぐだったり、へこんだりしているときは力が入っている証拠。最初のうちはなかなか癖が抜けないけれど、続けるうちに自然と力が抜けるようになっていくと思います。

――力を抜くことは、大人になるほど意識したいことかもしれないですね。

これまで幅広い年代の女性のメイクを見てきたけれど、年齢を重ねるほど、指や手首に余計な力が入ったり、動作が雑になったりする傾向があると感じています。「おばさんになる」ということは、要は「雑になる」ということ。それが雰囲気として滲みて出てしまうのではないかしら。毎日のメイクで力を抜くことを練習していけば、ナチュラルで透明感のある女性に近づいていくはず。ぜひ今回お伝えした3つの基本を取り入れてメイクをしてみてくださいね。

Photo:Sachiko Horasawa Text:Sachiyo Kamata