他人目線から自分目線へ。人生をつくる、お金の使い道。

思考の秋。自分自身の価値観をあらわし、人生を豊かに過ごすためのお金の使い道について、藤原美智子が語ります。

他人目線から自分目線へ。人生をつくる、お金の使い道。

20代から「家は自分の器」

 お金の使い道は、人それぞれの価値観が色濃くあらわれるものです。そして、年齢や世の中の流れによっても変わるものだと思います。私の場合、20代にいちばんお金を使ったのは「住まい」。その頃から「家は自分の器」という考えを持っていたので、働きはじめたばかりで予算は限られていたけれど、賃貸物件は妥協せずに探して、自分らしいインテリアに整えるようにしていました。環境が人の思考に与える影響は大きいですからね。

もちろん、若い頃は流行にも興味があったし、友だちと遊ぶことも楽しかったけれど、生活のベースとなる家をいちばん大切にしていました。そうしたコツコツとした積み重ねは今の家づくりや暮らし方につながっていると感じます。

上質さを知り、都会を満喫した30代

 30代になって仕事が充実し、経済的にも気持ち的にも余裕が出てくると、大人として上質なモノやコトを体験したいという思いが自然と芽生えてきました。ハイブランドの洋服やバッグを買ったり、人気のレストランや華やかなパーティーに出かけたり、海外でジュエリーやアンティークの食器を買い集めたり。

働く女性として都会での生活を満喫していたし、それが仕事のモチベーションにもなっていたと思います。

他人目線から自分目線へ。人生をつくる、お金の使い道。

物質的な豊かさから、内面的な豊かさへ

そうした価値観が大きく変化したのは、40代後半。それまでのライフスタイルを見直し、栄養学を学んだことで、物質的な豊かさよりも内面的な豊かさに意識が向くようになり、都内に畑を借りて野菜を育てたり、運動を習慣化したり、無農薬・有機野菜を定期的に配達してもらったりと、健やかな暮らしのためにお金を使うようになりました。

50代で結婚して下田に家を建ててからはますます物欲が減り、代わりに家づくりや庭づくり、料理、アウトドアなどにお金を使うようになりました。

家で食べる、とれたてのおいしさがごちそう

 そして、60代の今、いちばんのお金の使い道は、ふだんの食事。夫とスーパーで買い物をして、ふたりで台所に立ち、家でリラックスしながらの食事が何よりも心地いい。外食も食べる量も減ったぶん、食材選びにはこだわって、なるべく無農薬の野菜や丁寧に作られた調味料を使うようにしています。

レストランの美食もすばらしいけれど、もう十分に楽しんだし、今の私にとっては、とれたてのおいしさのほうがごちそう。そして、年齢とともに内面に意識が向くにつれ、ますます他者目線ではなく、自分目線でお金を使えるようになってきたと感じます。

他人目線から自分目線へ。人生をつくる、お金の使い道。

「人にどう見られるか」より「自分はどうしたいか」

 若いときは人のことが気になるし、他者目線でお金を使ってしまうのは仕方のないこと。私も買い物の失敗はたくさんしました(笑)。でも、そうした経験によってモノを見る目が養われたと思うし、年齢とともに自然と「人にどう見られるか」より「自分はどうしたいか」に軸を置けるようになってきたと感じます。

ブランドネームや流行ではなく、自分目線でお金を使うことができれば心の満足度は上がる。でも、逆に人の目ばかり気にしてお金を使っていると、いつまでも満足感は得られないのではないかなと思います。

今の自分の価値観を知るために

 そうは言っても、買い物をしている時は気持ちが高揚しているので冷静な判断は難しいものです。もっと自分目線でお金を使いたいと思うのであれば、一度自分自身を振り返って紙に書き出すのがおすすめ。

 今の自分は何をしている時がいちばん楽しいのか、どんなものが好きなのか、この先どういう生活をしていきたいのか……そうしたことを自分自身に問いかけ、思いついたことを全て文字にして書き出すことで、ぼんやりとしていた自分の価値観が見えてきます。

お金は心の満足感と交換するための道具

 年齢を重ねると、自分のためだけじゃなく、社会のためにお金を使いたいという気持ちも自然と湧いてくるようです。私自身、買い物の際、AとBで迷った時にはなるべく人や環境に優しい製品を選ぶようになったし、無理のない範囲でボランティアや寄付を行うようになりました。若い頃は余裕がなくて自分のことで精一杯だったけれど、自分以外のことにお金を使えるようになったことに大きな満足感を感じています。

 お金は心の満足感と交換するための道具。今の自分はお金によってどんな満足を得たいのか、一度立ち止まって考えてみるのもいいかもしれませんね。

他人目線から自分目線へ。人生をつくる、お金の使い道。

Text:Sachiyo Kamata

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