「いい夫婦」のためのふたり時間、自分時間。

11月22日は「いい夫婦の日」。前回反響をいただいたコラムに続き、藤原美智子が夫婦のコミュニケーションについて語ります。

夫婦の時間は習慣化がカギ

――ライフステージにもよりますが、日々忙しいと夫婦で過ごす時間はなかなか持ちにくいという声をよく聞きます。美智子さんご夫婦はいかがですか?

わが家の場合、お出かけも食事も基本的に二人一緒なの。スーパーとか、ちょっとした買い物に行くのもそう。特に話し合って決めたわけじゃなくて、結婚当初からそれが当たり前で、習慣になっているという感じです。だから、今は二人で出かける習慣のないご夫婦も、相手の用事に「私も行っていい?」と軽く聞いたり、自分の用事に「一緒に来てもらえる?」と言ったりして少しずつ機会を増やしていけば、それが当たり前になるのではないかしら。照れたり面倒に感じたりするのは最初だけ(笑)。習慣化してしまうことがポイントかなと思います。

――習慣化しないと、夫婦時間のハードルはどんどん高くなってしまいそうですね。

伝えることって夫婦だからこそ必要なんですよね。先日、食事に出かけた時に隣の席からふと聞こえてきた会話なのだけれど、奥さまが旦那さまに「前は用事があると必ず一緒に言ってくれたのに、最近は誘っても嫌だって言うようになったじゃない? なんで?」って聞いていたの。旦那さんの方は「特に理由はないよ」と答えていたけれど、勇気を出して自分の気持ちを伝える奥さまに共感しました。どんなにささやかなことでも、夫婦で話をすることってやっぱり大事なことだと思います。

夫婦はお互いさま。しょうがないなと思えるかどうか

――前回のコラムでも「話し合いが夫婦の中心にある」と仰っていましたね。


男性と女性は思考回路からして違うので、やっぱり言葉で伝えないと相手にはわからないことが多い気がします。でも、言いすぎてもダメだし、伝え方が難しい。そのあたりをうまくコントロールして、女性側が手綱を握るのがポイントかな(笑)。

―――美智子さんご夫婦は意見の違いから喧嘩になることはないですか?

何を食べるか、どこへ行くか、夫が提案してきたことに関しては基本的に「いいよ」と言うことが多いです。だって向こうはもう気持ちが決まっているんだもの(笑)。

もちろん嫌な時は代案を出すけれど、夫は夫で私に対して我慢しているポイントはあるだろうし、お互いさまよね(笑)。

夫婦って結局は“お互いさま”で、それをどこまで妥協できるかだと思うの。わが家もたまに喧嘩することはあるけれど、喧嘩すると家の中の空気が暗くなるし、楽しくなくなる。だから私はあえて忘れっぽいということにしています。

能天気なふりをするのも夫婦円満のための一つのテクニック (笑)。「しょうがないな」と思えるうちは大丈夫だし、そう思えなくなった時が夫婦の関係の終わりなのかもしれませんね。

「いい夫婦」のための
ふたり時間、自分時間。

ひとり時間があるからこそ、ふたり時間を楽しめる

―――夫婦で行動することが多いということですが、自分時間はありますか?

わが家は夫婦で出かけるし、家でも食事を作る・食べる・片付けるまでの流れは二人一緒なの。その時間も夫婦の絆を深めるコミュニケーションタイムになっていると思います。でも、それ以外の時間は互いに好きな場所で好きなことをして過ごしていることが多いの。そうやって、自分ひとりになれる時間と空間があるからこそ、それ以外は一緒に行動する気になるし、その時間を心から楽しめるのかもしれませんね。

―――夫婦円満であるためには、自分の時間と空間を持つことも大事なのかもしれないですね。

たとえ同じ空間にいたとしてもそれぞれが独立していれば自分時間になるんじゃないかしら。夫がテレビつけっぱなしにするならイヤホンをすればいいし(笑)、キッチンやダイニングの一角を自分の空間にするとか、いろいろ工夫できることはあると思います。結局、夫婦関係も空間も時間も工夫が大事。その工夫を楽しむことができたら、人生そのものが楽しくなるんじゃないかなと思います。

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「いい夫婦」のための
ふたり時間、自分時間。

Photo(portrait):Sachiko Horasawa Text:Sachiyo Kamata