遅々として進んでいなかった‘働き方改革’が、今回の新型コロナウィルス対策の一環としてテレワークという働き方が一気に浸透しています。 仕事の連絡をした時に「その日は自宅?それとも会社?」という会話も普通になってきました。
こうした働き方の変化に合わせて、自分の時間の使い方を改めて見直しているという人も増えているよう。

制約がある方が‘自由’は生かせる

テレワークは通勤しなくて良いし、人に気を遣う必要もないし、合間に家事だって用事だってできちゃうから良いことづくし♪と感じている人がいる一方、「どんな風に時間を使いこなしたら良いのか・・・」と戸惑っている人も。
それは、やるべき仕事はハッキリしていても「いつ」「どれくらい」するのかは自分次第だから。
「自由に、自分の好きなようにして良いですよ」と急に言われても困るのが‘自由’。 私はある程度の制約があるほうが‘自由’は生かせるものだと思っています。

それを最初に感じたのはヘアメイクアップアーティストのアシスタントを卒業した22歳の時。
最初はアトリエに毎日通う必要はなくなったし、起きたい時に起きて、食事したい時に食事できる生活って「なんて自由なの!」と、自由気ままな生活を満喫していたけれど(もちろん撮影の仕事が入っていない日だけ)、そのうち‘自由’にも飽きてきて「これじゃー、毎日ただ過ぎていくだけだ・・・!」という焦りが出てきました。
そこで実行したのが【スケジュール作り】。
まずは何時に起きて、掃除と洗濯をして、仕事のない日は午後から本を読んだり美術館に行ったりという風に、やるべきことやしたいことの日課作りをすることに。とは言え、「夜、遊びに出かけるから、明日は早く起きられないだろうなぁ。じゃー、起きる時間を変えよっと」といった具合に、臨機応変というよりも都合の良いように変えていたので、今から思うと‘自由気まま度’はあまり変わっていなかったかも(苦笑)。
それでもスケジュール帳にその日の予定やしたことを書き留めているうちに、未来を想定して予定を組むようになっていきました。「来週は忙しくなりそうだから、今日中にコレとアレを片付けよう」といった具合に。

スケジューリングをするようになって変わったこと

とは言え、スケジュール作りに本格的に取り組み始めたのは事務所を立ち上げた34歳の頃から。ヘアメイク業だけではなく、それ以外の仕事もグンと増えていったからです。
ヘアメイク業は打ち合わせや校正などはあるものの、基本的に撮影日でほぼ完結する仕事。でも原稿書きの仕事も物作りも他の仕事もある程度の期間を必要とするし、全てに締め切り日がある。それに間に合うように逆算して、今日はここまでやろうと決めないと後で苦労したり、周りの人に迷惑をかけたりすることになる。
そうした責任を感じて以来、自分に都合の良いように行動を変えるのではなく、仕事に合わせて自分の行動を計画的にしようとスケジュール作りを工夫するようになったというわけです。
または、それまでは「撮影の仕事が入るかもしれないから」という理由で、仕事以外のことはなかなか決められなかった私が、例えば「仕事を断っても良いから、この舞台は観に行こう」とチケットを前もって予約できるようになりました。

スケジュールを決めると言うことは何かを選び取ることであり、他の何かを断るということ。そのためには大なり小なり腹をくくる必要があるし、その前に自分にとって何が大事なのかのプライオリティを決める必要がある。スケジューリングしているうちに、こうしたことが意識できるようになっていった。だからチケットも予約できるようになったのです。
ちなみに40代前半までは仕事最優先でスケジュールを組んでいましたが(何しろ仕事が一番興味のあることだったので)、その時々の自分のプライオリティを大事にするためにいろいろ試行錯誤していった結果、今は仕事とライフスタイルのバランスのとれたスケジュールを組めるようになり幸福感と充実感が以前より増したように感じています。

「未来は自分でつくる」ための大事なこと

もう一つ改めて感じたのは未来というのは漠然としたものであり、何かしらの指針を立てないと漠然としたまま、いつの間にか過ぎ去っていってしまうということ。でも決めたことを実行していくと未来は変わっていく・・・。スケジュール作りをして、このような人生の単純なカラクリに気づいた時、何だか不思議に思ったし、「そっかー。未来って行動すれば変わっていくものなんだー」と思ったことを今でも覚えています。
こんな風に、スケジュール作りをするようになって初めて「未来は自分でつくる」という意味を具体的にイメージできるようになりました。例えば大袈裟なことでなくても、
「午後は、この本を読もう。」
「明日こそはクローゼットを整理するぞ!」
「来週までには、この仕事を終わらせなくては。」
「来月のこの日までに1キロ痩せたい。」
「来年の試験までに勉強しなければいけないのはココまで!」
「将来はこんなライフスタイルを送れるようになりたいな。」

こんな風に日常で何気なく思っている単純な願望だって、未来の行動の指針となります。もちろん、ただ思うだけでは‘絵に描いた餅’。そして、それを行動に移す時の具体的な手助けとなるのがスケジュール作り。そのためには‘絵の中の餅’の願望を‘いつ’‘どんな風に’‘どこまで’と具体的に書くことが大切。
「午後は何時から何時まで、○ページから○ページまで読む」
「明日の何時から何時まで、ここの棚とここの棚の洋服を整理する」
「来週まで仕事を終わらせるためには、今週はココまで必ず終わらせること」といった具合に。

私のスケジューリングの仕方

さて、実際に私がスケジュールを立てる時に実行していることや注意しているのは以下のこと。
・一年間→1ヶ月→一週間前→当日単位でスケジュールを立てる
・理想的すぎない
・‘やりたいこと’と‘しなければいけないこと’のバランスをとる
まずは正月中に、今年はこんなことをしたい、こんな風になりたいといった1年間の抱負を書き留める。それに基づいて大まかな1ヶ月単位の目標を立てて、1週間前の日曜日の朝に次の週の具体的なToDo作りをする、というのが数十年間の私の習慣。

気をつけているのは理想的過ぎないこと。隙間なく1日の行動を決めてしまうと突発的なことに対応できないし、それによってその日の予定がなし崩しになり、ヤル気も失せてしまう。何より日々は突発的なことが起こる方が普通なのだから。
そうした突発なことに左右されないためにしているのは、まだ社会や家族が起き出す前の朝の時間を濃密にすること。この時間に‘しなければいけない事’や‘したいこと’のリストの7割は片付けるようにしています。実際には朝5時半頃から8時半頃までは書きものの仕事や語学の勉強、朝風呂、ストレッチの時間に当てています。
そして他の仕事や家事は1日の隙間時間に。バレエやピアノの練習は私の場合、1日のスケジュールが日々違うので、前日の夜に予定を見ながら朝の時間にするのか日中なのか。あるいは夜の時間にするのかの当りをつけています。

今回の新型コロナウィルスにより日々もそうだし1ヶ月単位、年単位で予定が狂ってしまったという人がほとんどでしょう。でも「起こったものはしょうがない」と思考を柔軟に切り替えてスケジュールを作り直すことが具体的にも気持ち的にも得策だと思うし、そのように私は早々に書き換えました。

やりたいことは数字で表す

ところで私にとって‘やりたいリスト’に上げているのはストレッチや語学の勉強、ピアノやバレエの練習と瞑想。これらは‘いつ’だけでなく‘どれくらいするのか’を決めています。とは言っても実行できる時間は日々変わるので、例えばストレッチは15分以上、ピアノやバレエは25分以上、英語だったら何ページまでといった具合に。
こんな風に具体的に時間や量を決めておくと、「あっ、今、時間ができたからピアノの練習をあと10分しちゃおうかな」という具合に隙間時間を活用できるし、ヤル気も持続できる。何しろ途切らせてしまうと、そのままズルズルとしなくなるというのは自分の体験上わかっているので、3分でも5分でもいいからやり続けるようにしています。

「時間がないからできない」とはよく聞く言葉ですが、それでも時間と気持ちを工夫すると時間というのは生まれてくるのは確か。そして決めたことを‘とにかくヤル!’と決めちゃうと‘やらない言い訳’を考えなくて済むので気持ちがシンプルになって楽チン、というのが私の持論です。そうそう瞑想は夜、寝る前にベッドで15分と決めているので、唯一‘いつやるか’と悩まなくても良いルーティンです。

私のiPadスケジュール帳の使い方

冒頭の写真のiPadのスケジュールページは、ある1日の夜に見直した時の状態のもの(仕事の具体名や日時は○や△に変更しています)。黒い文字で書いているのは仕事のスケジュールや、自分がしたい事やしなければいけないことのリスト。そして赤いチェックマークは、それをやり終えた印。赤色の数字はルーティンにしている上記の‘やりたいこと’の実際にした時間。
私にとって赤字で書いたりチェックマークをつけたりする時が「やったー!」という充実感と満足感を覚える瞬間。大袈裟かもしれないけれど、それを味わいたくて頑張ってリストをこなしていると言ってもいいほど(!)。
大なり小なり、こんな風に自分に充実感や満足感を与えることはとても大事だと思っています。例えば家事はやろうと思えばいくらでもやることはあるし、気持ちが元気な時はなんとも思わずにできても、そうじゃない時は「ふ〜」とため息が出ることもある。それに料理以外は家族に特別に感謝されるわけでもない。だから私はこなした家事も赤字で書いて「えらい!」と自分で自分を褒めるようにしています(笑)。

「制約」は「時間や人生をデザインニング」するということ

ところで冒頭に書いた「ある程度の制約がある方が‘自由’を使いこなせる」という‘制約’というのは、人に押し付けられたものではなく自分で作った自分のための制約であり、充実感や未来につながるための制約という意味です。
中には仕事や家族に費やす時間が1日の大半を占めるという人もいるかもしれませんが、それでも1日のどこかに自由に使える時間はあるはず。その時間をあえてボーッとして体と気持ちを休ませるのでもいいし、何かをするのでもいい。何をするにしても、そうした時間を意識的に使った方が時間は濃密になるし充実感を味わえるのは確かだと思うのです。そして、そんな時間をどのように活かすかは、それこそスケジューリング次第。

・・・でも、実は「スケジューリング」という言い方が一般的なので、私もそれを使っていますが、本当は「どのように時間をデザインするか」或いは「どんな風に人生をデザインするか」という意味での「デザインニング」という表現のほうが個人的には腑に落ちるし、感覚的にも好き。意味合いは同じでも、そのほうが凝り固まった感じではなく広がりや自由を感じるし、「自分らしくデザインしてもいいのね」という前向きでワクワクとする気持ちにもなれる。それこそがスケジューリングする、つまりデザインニングすることの価値ではないかと思うのです。
新型コロナウイルス終息以降の働き方は個人次第、という流れになるのは必須。あなたは自分の時間を、自分の人生をどのようにデザインしますか?

※若い頃から紙のスケジュール帳を使っていましたが、もっと自分のライフスタイルに合うようにカスタマイズしたくて、去年からiPadでNoteshelfというアプリを使って自分だけのスケジュール帳を作っています。