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荷物は少なく、好奇心は旺盛に。“今”を心から楽しむ、私の旅。

荷物は少なく、好奇心は旺盛に。“今”を心から楽しむ、私の旅。

 

旅行気分が高まるバカンス。藤原美智子がこれまでの旅の思い出やパッキングのコツ、今夏の計画などを語ります。

 

 

目的のある旅も、のんびり旅も。世界の広さを知り、日常が変わる。

 ――美智子さんは、これまでさまざまな国を旅してきたそうですね。

仕事でもプライベートでも、本当によく旅をしました。一番よく行っているのはハワイで、その次に多いのがパリ。ほかにも、台湾にごはんを食べに弾丸旅行に行ったり、モルディブでダイビングに挑戦したり、ロサンゼルスにロングステイして人生を見つめ直したり、ロシアのサンクトペテルブルグにバレエを観に行ったり……。好奇心の赴くままに、あちこちへ出かけていました。やっぱり旅行って楽しいですよね。

――旅の魅力をどんなところに感じていますか?

日常の景色が変わることかな。それが私にとっての旅の魅力です。そして、20代の頃からいろいろな国を旅できたことは一つの財産だと思っています。国によって常識も考え方も変わるということを体験してモノの見方や感じ方が広がったし、「井の中の蛙にならないように」という意識も芽生えました。自分の知らないことが世の中にはたくさんあるということを身をもって知ることは、好奇心と謙虚さにつながるんじゃないかなと思います。

 ――特に印象に残っているのはどんな旅ですか?

たくさんあるけれど、一つ挙げるとすれば、フランス・ニースへの旅かしら。当時画家のマティスにすごく凝っていて、彼が暮らしていたシミエ地区を訪れたんです。「あぁ、ここでマティスは創作していたんだ」と感慨深いものがありました。そうやって自分の好きなアーティストのルーツを巡る旅は知的好奇心が刺激されて、とても楽しいです。何か目的やテーマを持って出かける旅も、あえて計画を立てずにのんびり過ごす旅も、どちらにも良さがある。その時々の自分に合った旅のスタイルで楽しみたいですね。

 

旅支度は念入りに。ジーンズとジャケット、いつものコスメが旅の相棒。

――それだけ旅をしていると、パッキングもきっとお手のものですね!

ヘアメイクという仕事柄もあるし、パッキングは得意かもしれませんね。あと、旅のスケジュール作りも大好き。限られた日数の中でいかに充実した時間を過ごすか、旅先での予定に合わせて洋服をどう着回すか、そういうことを考えるのがすごく楽しいです。

――旅先に必ず持っていくものはありますか?

その時々で違うけれど、洋服ではスリムジーンズとジャケットは必ず持っていきます。ジーンズは動きやすくて着回しやすいし、ジャケットが1枚あると、レストランや劇場など、ちょっとかしこまった場所に行くときに重宝するの。あとは、大判のスカーフ、街歩き用の大きなバッグと夜用の小さなバッグ、一枚でも羽織りとしても使えるシャツがあると便利。靴は、歩きやすい靴とドレスアップしたときに映える靴の2足を持っていきます。

――旅のワードローブ、とても参考になります! コスメ類はどうしていますか?

旅先では環境の変化で肌の調子が変わることもあるので、コスメやスキンケア類は使い慣れているものが安心。普段使っているものを携帯用のケースに詰め替えるなどして、なるべくコンパクトにして持っていきます。こんなふうに最低限の荷物で身軽に旅行したい私とは対照的に、夫はあれもこれも持っていきたい人。一緒に旅行に行く時は、互いの荷物の量にいつも驚き合っています(笑)。

 

 

場所に関係なく、今できることや興味があることを楽しむ。

――今、行きたい場所はありますか?

実は、ヘアメイクアップアーティストを引退した時に、夫と大きなバンを借りて北海道を1周しようと計画していたんです。でも、ちょうどその頃、愛犬・アルフの体調が悪くなってきて断念したの。すぐには実現できないけれど、「いつか行けたらいいね」と夫と話しています。

――素敵な旅の計画ですね。今年の夏は、どう過ごす予定ですか?

いつも下田と東京を行ったり来たりしてるので、意外と東京でゆっくり過ごすことってないんですね。それに今年の夏はアルフの体調もあって遠くに行けないし、下田の家も夏の間は人に貸し出す予定にしているので、「都内で普段できないことを楽しもう」と二人で計画しています。美術館にも行きたいし、ずっと興味のあった国立図書館にも行ってみたい。そんなふうに場所に関係なく、できることや興味があることを楽しむことが、今の私たちの“旅”。日常を旅するような気持ちで過ごせたら、きっといい夏になるんじゃないかなと思っています。

追記:このコラムの取材後に転んで腕を骨折してしまいました。愛犬アルフの具合があまりよくないこともあり、今年の夏は下田の家で静かに過ごすことに。下田に1ヶ月以上滞在するのはコロナ禍を除いてはじめてなので、1日の時の流れに身を任せてゆっくりと過ごしたいなと思っています。

 

Photo:Sachiko Horasawa
Text:Sachiyo Kamata
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