まずは1分から。誰でもできる、集中力の高め方
暖かくなって活動的になる反面、なんだか妙に眠たくなる春。日中ボーッとして思わぬミスをしたり、貴重な時間を無駄にしたりするのは避けたいところ。藤原美智子が集中力を高めるためのアイデアについて語ります。
アイメイクは集中力が高まって、“ゾーン”に入った状態に
――美智子さんはヘアメイクアップアーティスト時代、周囲も驚くほどの集中力をお持ちだったと伺いました。
集中力に関しては、周りによく驚かれたり、褒められたりしましたね。といっても、長時間集中しているわけではなくて。瞬間的に感覚が研ぎ澄まされて集中力がグッと高まる、つまり“ゾーン”に入った状態になるんです。例えばヘアメイクだと、ファンデーションを塗ったり、ヘアスタイルの土台を作っているときは、周囲の方と楽しくおしゃべりしているのだけれど、繊細な作業が求められるアイメイクに入った途端、ゾーンに入るという感じ。急に無口になるので、周りの方も「あ、藤原さんがゾーンに入った」と気づくようです (笑)。アイメイクが終わって、チークに入ると、またしゃべりはじめるのですけれどね。
――緩急があるんですね。
そうなんです。「藤原さんって撮影中はすごいけれど、終わった途端に使い物にならなくなるくらいボケちゃうよ(笑)」ってよく言われたけれど、本当にその通り(笑)。最初から長時間集中を保とうとすると力んでしまって、逆に集中力を妨げちゃうんじゃないかなと思います。
毎日集中する習慣を。休憩を入れてリズムを整えて
――美智子さんのように、集中力を高めてゾーンに入るにはどうしたらいいでしょう?
最初は1分でもいいので、毎日何かに集中する習慣を身につけるのがいいと思います。それを2分、5分と伸ばしていけば、15分くらい集中できるようになるはずです。人それぞれではあるけれど、ゾーンに入るほどの集中は15分くらいかなと思います。そして、集中が切れたら、ちょっと他のことをして休憩。それを繰り返していくと、自分なりのリズムができて、そのうち意識しなくても集中できるようになるはず。私の場合、原稿の仕事だと最初は45分くらい集中は続くのだけれど、次は30分、次は15分と集中できる時間が短くなっていくんです。その合間には、お手洗いに行ったり、ストレッチをしたりして、その場を意識的に離れるようにしていますね。気持ちが切り替わって、場に戻るとすぐにまた集中に入れるんです。
――休憩後もすぐに集中できるというのがすごいですね。美智子さんは目覚めもすごくいいと伺いました。
私、朝起きてすぐ食べれるし、すぐ仕事に取りかかれちゃうんです(笑)。これは海外ロケで磨かれた特技かもしれないですね。ロケ先では朝一番で、女優さんのメイクを始めなきゃいけないし、自然光での撮影は時間との戦いだから、とにかく集中してやらないとダメなんです。そうした生活を数十年続けていたので体が慣れてきて、起きてすぐ動けるし、集中したいときにパッとゾーンに入れるテクニックが身についたんだと思います。
ゾーンに入るコツは目線。積み上げた集中力は一生モノ
――まるでアスリートみたいですね。
感覚を研ぎ澄ませて、今この瞬間だけに集中する。確かに、この感覚はアスリートや芸術家に近いものがあるかもしれません。趣味のバレエは、技術的にはまだまだなので、なかなかゾーンに入るところまではいかないのですが、一瞬だけなら入れるようになってきました。私のゾーンに入るコツは目線。目に力を入れずに、どこにも焦点を合わせずに見ることです。
――最近は集中力を高める作業用のBGMなどもありますし、そうしたものをうまく活用するのもいいかもしれませんね。
そうですね。春から新しい環境になって、集中力がなかなか続かないという人もいるかと思いますが、焦らなくても大丈夫! 何でもやり慣れてないうちはうまく集中できないものですもの。最初は10秒集中できたらOK。毎日続けていけば少しずつ長くなっていくはずです。集中力が高まってゾーンに入れるようになると、パフォーマンスも上がるし、物事の判断も早くなって時間が効率的に使えるようになるし、自分に自信がついてくると思います。コツコツ積み上げた集中力は一生モノのテクニック。何をするにもきっと役立つものだと思います。