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素直さを、伸びしろに。〜私の二十歳〜

素直さを、伸びしろに。〜私の二十歳〜

 

 

18日は「成人の日」。藤原美智子が二十歳だった頃を振り返り、自分の力で人生を切り拓くためのヒントを語ります。現在の二十歳も、かつてのはたちも、前を向く力が湧いてくるはずです。

 

素直に吸収する力さえあれば、成長していける

 ――美智子さんの成人式の思い出はありますか?

二十歳のお祝いには、美容師の母に髪を結ってもらって、着物も着付けてもらったことは覚えているんですが、なぜか成人式の記憶がなくて……(苦笑)。美容学校を卒業して、ヘアメイクアーティストの松永タカコ先生のアシスタントについていた頃なので、成人式当日は仕事だったかもしれませんね。

――ヘアメイクアーティストとして一歩踏み出した頃の20代の頃のお写真、とっても可愛いです! 当時はどんな女の子でしたか?

ファッションは「コムデギャルソン」が大好きで、黒づくめのマニッシュな格好ばかりしていました。メイクもほとんどしなくて、たまにしても真っ赤な口紅くらい。そもそもヘアメイクアーティストになろうと思ったのは、ヘアメイクが好きだからじゃないの。イメージを作り上げていく過程が楽しくて、その手段がたまたまヘアメイクだったんです。松永タカコ先生の記事を何かで読んで、「こんな仕事もあるんだ!」って感銘を受けて、アシスタントの採用面接を受けたら、幸運にも採用していただけて。そこから3年間ほどアシスタントを務めました。

 ――アシスタント時代は、どんなことを心がけていましたか?

右も左もわからないので、先生に言われたことは何でも「はい!」と、素直に受け止めていました。今振り返ってみると、私の唯一の長所はその「素直さ」だったかなと思います。「なるほど!」「そうか!」って、何でも吸収する力だけはあったみたい()。その時は当たり前だと思っていたけれど、自分がアシスタントに教える立場になって、素直さはとても大事な能力だと気がついて。私自身がアシスタントを採用する際の唯一の条件も「素直な人」だったの。

 ――素直さが大事なんですね。

素直さは、成長の源というか、その人の「伸びしろ」だと思います。若い時は自己主張したくなることもあると思うけれど、むしろ「自分は何もわからないんだ」と、あらゆることを受け入れてようとした方が結局は多くを得られるの。何もわからなくても吸収する力さえあれば、どんどん成長していけるし、あらゆることを吸収していく時期だからこそ、いい人たちに巡り合い、自分を高めてくれる環境に身をおいた方がいい。そういう意味では、私は自分の直感に素直に従って、本当にいい選択をしてきたなと思います。

 

美意識、技術、理論。吸収したことがキャリアにつながって

 ――アシスタント時代には、どんなことを吸収しましたか?

まるでスポンジのように、先生の美意識からメイク理論まで、あらゆることを吸収していました。先生は美意識がとても高くて、「テーブルが曲がっていたら、きれいじゃないでしょう?」「ジュースは並々注いだら美味しそうじゃないでしょう?」って、「美しい」とはどういうことかを一から教えていただいた感じです。ご主人もアートディレクターで、暮らしそのものがセンスにあふれていたので、あらゆる美意識に関して、先生ご夫婦に大きく影響を受けました。

 ――ヘアメイクの技術も美意識も磨いて、充実したアシスタント時代ですね。

先生はヘアメイクの学校も運営されていたので、私は雑誌撮影の仕事に同行しながら、メイク学校の助手もしていたんです。メイク理論を傍らで聞いているうちに覚えたのか、雑誌のヘアメイクページでも解説できるようになっていました。そこから、テクニックと理論の両方を兼ね備えたヘアメイクアーティストとして、いろいろな仕事が舞い込むようになったの。人生って面白いですね。

 

 

最初から無駄を省きすぎると、真のシンプルにたどり着かない

――20代に素直さに吸収したことが、その後の人生にも活きてくるんですね。

私自身のこれまでの人生を振り返って思ったのですが、多くの人に共通しているのは20代はとにかくいろんなことを学んで吸収する年代。30代は吸収したものの中から自分らしさを見つける時代。40代は2030代で頑張ってきたことの恩恵を受けて花開かせる年代。50代は恩恵の中から取捨選択をして、さらに自分らしさを花開かせる年代、そんなふうに感じています。60代は私はまだ道半ばなのだけど、50代にいらないものを削ぎ落として残ったもの、つまり自分にとって本当に大事なものをどんどん深めていく年代なのかなと思っています。

 ――人生は全てつながっていて無駄なことはない、と。

今は何かと効率が重視される時代だけれど、一見無駄に思えることから自分の新しい一面が生まれることもあるんですよね。年齢を重ねてから、きちんと取捨選択ができるためにも、若い時は“肉づけ”が大事。28歳ぐらいまでは焦らず、いろんなものを吸収して、そこから自分の方向性を探っていけばいいんじゃないかしら。最初から無駄を省きすぎると、狭い世界に留まることになって、本当の意味での効率やシンプルさには、たどり着かない気がします。若い方にはぜひ素直さと謙虚さを大切にして、たくさんのことを吸収し、今を全力で楽しんでほしいです。私自身も、二十歳の初心を忘れず、成長していきたいと思います!

 

 

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