ゲストの心を掴む、ホームパーティー術
久しぶりに親しい人たちが集まって賑やかに過ごせそうな今夏。ホームパーティーの達人でもある藤原美智子が、気疲れせずにゲストの心を掴む、おもてなし術を語ります。
ホームパーティーは「掴み」が肝心
――藤原さんは伊豆下田にセカンドハウスをお持ちなこともあり、夏はホームパーティーを開く機会がとても多いそうですね。ゲストをお招きする際に心掛けていることはありますか?
ホームパーティーって、第一印象、つまり最初の「掴み」が肝心なんですよね。だから、自分がホストになる時は、ドアを開けた瞬間からゲストにワクワクしてもらえるように準備します。といっても凝った演出は何もなくて、テーブルの上には小さくてもいいので季節の花を飾り、簡単につまめるような料理を用意して、お皿やグラスを並べておく。ワインクーラーには冷えたシャンパンとクロスを用意して、ゲストが到着する前にアップテンポな音楽を流しておく。たったこれだけでテーブル周りがぐっと楽しげな雰囲気になって、ゲストが入ってきた瞬間に「わ〜っ!」て喜んでくれます。この歓声が聞こえたらホームパーティーは、ほぼ成功したも同然です(笑)。
――楽しい雰囲気を演出するって大事ですね。
誕生日などをお祝いするパーティーなら、部屋を飾りつけするとさらに喜ばれますね。以前、友人の誕生日をわが家で祝った時は、100均グッズでガーランドやバルーンを買いこんでポップに飾り付けたんです。そうしたら、部屋に入ってきた瞬間に、「わ〜っ! 嬉しい!」って、すごく喜んでくれて。いくつになっても人がワクワクする姿っていいなと思うし、それを見られるのがホストの醍醐味なんですよね。
完璧なおもてなしより、程よくおまかせで楽しむ
――パーティーの音楽はどんなものをかけますか?
アップテンポでノリのいい音楽ならなんでも。ホストは何かと忙しいので、選曲はApple Musicに任せきりです(笑)。音楽ストリーミングサービスを使えばテーマに合わせて自動で選曲してくれるので、すごく便利。時々、思いがけない曲がかかったりするのも楽しいですね。パーティーが盛り上がってくると、そのうちみんな音楽のことなんか忘れてしまうから、最初の「掴み」だけで大丈夫(笑)。「こんにちは」と玄関のドアが開いた瞬間に楽しげな音楽がかかっていると、なんだかワクワクするでしょう? それで十分なんです。
――パーティー料理はどんなものがいいでしょう?
大人数のパーティーでは時間のかかる料理でゲストを待たせるのはあまりスマートではないなと思っているし、大皿に盛り付けて各自で取り分けるスタイルが効率的。そのほうが食べる方も片付ける方も気がラクですし(笑)、テーブルがワイワイ賑やかな雰囲気になりますしね。大人数の時は、テラスでバーベキューもよくします。そうすると「焼きたい!」って人が必ず一人は出てくるから、遠慮なくお願いします(笑)。「ホストだから完璧なおもてなしをしよう」と気負わずに、程よくゲストにおまかせしながらカジュアルな雰囲気にした方が楽しいパーティーになりますね。
おしゃれな大皿で見栄えよく、賑やかにシェア
――よく作る定番メニューはありますか?
オードブルは生ハムと季節のフルーツの盛り合わせ、チーズ、ナッツ類が定番。センスよく盛り付けるだけだし、見栄えがするので、パーティーの「掴み」にぴったりなんです。メインはラムチョップをよく出しますね。これも見栄えがするし、ヘルシーだし、ちょっと特別感もあって、パーティー向きだと思います。大皿のパエリアもカラフルで見栄えがするし、デザートのフルーツタルトもホールのままテーブルに出すと歓声が上がりますね。ちょっと変わったところだと、角形の七輪を使った干物バーベキュー。下田は魚介がおいしいので、そうした「ご当地感」を織り交ぜると遠方からのゲストには喜ばれますし、じっくり炙りながら食べるので、ちょっと大人のバーベキューといった雰囲気になりますね。
――パーティー料理も「掴み」が大事なんですね。
自分がゲストの立場になるとよくわかるのですが、ホームパーティーのときって、レストランのように凝った料理はみんな期待していないんですよね。それよりも「かわいい!」「美味しそう!」っていう見栄えが大事。だから、あんまり難しく考えず、おしゃれなカッティングボードや大皿を使って、いつもよりちょっと盛り付けにこだわるくらいの気軽さでいいんじゃないかなと思います。この夏はホームパーティーの機会がぐんと増えそうなので、今から楽しみです。