健やかな肌を育む 健やかなメンタル
春の新生活にも少しずつ慣れ、緊張感が緩んでくる今こそ気をつけたい5月病。コロナ禍も明け、久々にリアルな対人関係が復活し始めた今、藤原美智子がメンタルヘルスについて考えます。
できない自分を認めて、人の胸に飛び込む勇気を
――4月後半はゴールデンウィークが近づいてきてワクワクする反面、メンタルの不調を感じやすくなる時季でもあります。
新生活が始まって、慌ただしく過ごしているうちは気付きにくいけれど、ふと周りを見渡す余裕が出てくると「私は何もできない」とか「この環境でやっていけるかな」とか、いろいろ考え始めてしまいますものね。でも、誰だって、どんなことだって、最初は何もできない。それを認めるしかないし、認めるとすごく楽になるんですよ。「いや、こんなはずじゃない。私はもっとできるはず」と思うから苦しくなる。自分を追い込まないことがまずは大事じゃないかなと思うんです。
――美智子さんも、そうやって新しい環境に順応してきたんですか?
もちろんです(笑)! できない自分を認めて、明るく割り切った方が自分も楽ですしね。人の胸に飛び込む勇気を持つことが、とても大事。60歳でバレエスクールに入った時がまさにそうで、周りは誰も知らないし、先生も自分よりずいぶん若い。そんな状況でも、「何もできませんが、頑張りますので、よろしくお願いします!」と、飛び込む。謙虚さと素直さがあれば、相手は味方になってくれるはず。注意したいのは、「私の方が年上よ」という態度。人に教えを乞うのですから、謙虚さは大事ですからね。
存在感はあっても貫禄はつけず、フラットな関係性で
――でも経験値を重ねてくと、ついつい貫禄が出てしまいますよね。
貫禄をつけちゃうのって、もったいないなって思うんです。存在感はある方がいいけれど貫禄って威圧的でもあるし、謙虚さとは真逆ですしね。いくつになっても謙虚な方が成長できて楽しいんじゃないかなって思うんです。まだまだ自分には知らないことがある、まだまだ学ぶことがある、世界が広がるかもしれない……そんなふうに思えば、難しい対人関係もクリアしていけるのではないでしょうか。
――「対人関係は最初が肝心」ということも美智子さんはよく仰っていますね。
最初の印象ってやっぱり大事ですよね。緊張をカモフラージュしようとして「上から目線」になってしまったり、不安や気に入られたいという気持ちが強すぎて「下から目線」になってしまったりすることもあると思うんですが、それによって関係性が決まってしまう。よっぽど親しくならないとそれって覆らないから、後で自分が大変になるだけ。だから最初からなるべくフラットに、素のままの自分でいたいですよね。
自然体の明るさで、頑張りすぎず、自分を労わる
――自然体がいちばんなんですね。
そう。無理して明るくする必要はないけれど、対人関係においては適度な明るさは必要なので、自然体で明るくいられたらいいですよね。そのためにメイクや明るい色の服を積極的に利用したいですね。でも、せっかく新しい人間関係の中に飛び込むのであれば、今までの自分とは違う自分になりたいと思う人もいるはず。そういう場合は、なりたい自分を楽しみながら演じてみるというのもいいんじゃないでしょうか。誰も過去の自分を知らないわけだから、第2の人生が始まるチャンスと捉えて、頑張りすぎずに頑張ってみる。試しにトライしてみようくらいの軽いノリの方が楽しめるかもしれませんね。
――何もする気が起きないぐらい疲れてしまったとき、美智子さんはどうしていますか?
そういうときはもう、ベッドでネトフリ(Netflix)です(笑)。昔は落ち込んだときはベッドルームに朝からシャンパンを持ち込んで、気が済むまで映画を観て過ごす、なんていうこともしていましたね。今はお酒は飲まないし、自堕落に過ごすのも2〜3時間くらいで飽きちゃいますけど(笑)。心身ともに疲れたら、まずは休んで、好きなことをしてリフレッシュすることが大事。とことん浸ると自然と飽きてきて、動きたくなってくるのではないでしょうか。
――メンタルの状態は肌にも表れますよね。
確実に表れます。ヘアメイクをしていた頃は、肌を見れば、その人の心理状況がだいたいわかりましたから。肌がくすんで見えるときは何か嫌なことがあったりストレスがあったり。逆に肌ツヤがすごく良かったりするといい恋愛をしていたり。肌ってとても正直。メンタルを健やかに保つことで、肌もいきいきとしてきます。新生活が始まって慌ただしく過ごしている人も、どうか無理なく、自然体で過ごして、自分を労ってあげてくださいね。