ハレの日に華を添える、大人の桃色メイク

3月3日は桃の節句(ひな祭り)。藤原美智子が幼少期のひな祭りエピソードや大人の桃色メイクについて語ります。

憧れのおひなさまと一生モノのピアノ。幼いころに選んだものは?

――美智子さんのひな祭りの思い出を教えてください。

ひな祭りといえば、一つ忘れられない思い出があって。7歳くらいの頃、母に「おひなさまとピアノ、どっちがほしい?」って聞かれたんです。その瞬間、「あぁ、お母さんは私に『ピアノがほしい』って言ってほしいんだな」って、子ども心にわかってしまって。本当はおひなさまがほしかったのだけど、「ピアノがほしい」って思わず言っちゃったの。そうしたら、母はしめしめと言わんばかりの顔をして(笑)。きっと最初からピアノを習わせたかったんだと思うの。どっちも買ってくれたらいいのに、どちらがいいかと聞かれたら一択になりますよね。しかたがないので、私は毎年3月3日になると、家じゅうのぬいぐるみを集めて、おひなさまみたいに家の階段に飾っていました(笑)。

――ほほましいエピソードですね。 

周りの大人たちからすると、ほほえましい光景だったかもかもしれないけれど、私は、ひな人形を買ってもらえなかったので、これ見よがしにやっていたんです(笑)。本家の親戚の家には代々の立派なひな人形があっので、そこによく遊びに行って、おひなさまを楽しんでいましたね。でも、子どもって切り替えが早いから、3月3日を過ぎると、夢中になっていたおひなさまのこともさっぱり忘れちゃうの(笑)。それに比べて、ピアノのスキルは一生モノ。最近は全然練習できていないのでけれど、体はちゃんと覚えていものですよね。今さらながら母には感謝しているし、我ながらピアノを選んだのは良い選択だったのかなと思います(笑)。

――大人になってからのひな祭りはどのように過ごされていますか?

改めてお祝いすることはしないけれど、小さなひな人形を季節のインテリアとして飾ります。手のひらに乗るくらい小さくて、お内裏さまとお雛さま、小さい屏風もついていて可愛いの。そこに桃の花をちょこっと飾ると部屋の中が華やいで春を感じます。そういう季節の行事は日常のうるおいとして残していきたいですね。

自分も周りも気持ちが柔らかくなる、桃色の魅力

――桃の節句といえば、ピンク。春を感じる色ですが、美智子さんはお好きですか?

ピンクって、やっぱりいいですよね。私はファッションでも時々ピンクを取り入れるのですが、ピンクを着ていると必ず褒められるんです。身につけている自分はもちろん、それを目にする周りの人も、なんだか気持ちがほっこりするみたい。これがピンクの魅力ですよね。

――美智子さんがピンクを選ぶときの基準はありますか?

ピンクと一口に言っても、いろいろなピンクがあるし、人それぞれ似合う色味も違うと思うのだけれど、私は「桃色」と呼ばれるような淡いピンクを選ぶことが多いです。無理なくまろやかな雰囲気になって、自分も周りの人も、ふわっと幸せな気持ちになる、そんなピンクが好き。グレーやブラック、デニムカラーにも合わせやすくて、カジュアルに着られるのもいいですね。特に上半身の服は顔映りに影響するので、鮮やかなピンクより、柔らかなピンクを選ぶようにしています。

色は出さずに漂わせ、優しさや幸せ感をまとう

 ――メイクでピンクを取り入れる時のポイントはありますか?

チークやリップでピンクを取り入れるのが一番簡単ですよね。でも、ピンクの色味が強すぎてしまうと若ぶっているように見えたり、威圧感が出てしまったりすることもあるので気をつけています。ピンクを取り入れるときは、「色を出す」のはなくて、ほんのりと「色を漂わせる」程度に留めて、幸せ感を出すことが大事かなと思います。チークは肌にのせる前にブラシをティッシュの上でならして余分な粉を落とすとか、リップは塗った後に軽くティッシュオフするとか、ほんのひと手間かけるだけで、ふわっと優しさや幸せ感が漂うようになるの。ピンクメイクを取り入れると、表情も気持ちもいつもより柔らかく優しくなれる気がします。忙しくて余裕がない時ほど、ピンクの力を借りたいですね(笑)。

 ――大人になるほど、ピンクに対する苦手意識が強くなってしまいがちです。気軽にピンクを取り入れるにはどうすればいいでしょうか?

メイクより、まずはファッションから取り入れるのがいいかもしれませんね。その場合は、素材選びがポイントになるんじゃないしかしら。例えば、コットンのように張りがある素材だと色が強すぎると感じる場合は、透け感のあるふんわりとしたブラウスだと色を漂わせるようにまとうことができて、誰でも無理なく着こなせると思います。これからの季節であれば、透け感があって柔らかい素材、もしくは薄手のふんわりとしたセーターでピンクのまろやかさを取り入れてみるといいかもしれませんね。

 ――ピンクは意外と幅広いんですね。

ちょっと色を意識して周りを見渡すと、「こんなピンクもあるんだ」「あんなピンクもあるんだ」と気付くことができるのではないかしら。そうすると、その中から自分に似合うピンクも見つけやすくなると思います。この春は、いつもより少しだけ色を意識して、自分なりのピンクを楽しんでみるというのはどうでしょう。