芸術の秋。音楽に身を委ね、美しさを磨く。
心豊かに過ごしたい、芸術の秋。藤原美智子が大好きなクラシック音楽とバレエの魅力、その愉しみ方について語ります。
家事やメイクこそ、クラシックを聴きながら優雅に
――美智子さんは普段どんな音楽を聴いていますか?
クラシックやオペラを聴くことが多いかしら。きっかけは20年以上前に大流行した「オペラ3大テノール」。パリのコンサートに足を運んだり、家の中でも常にオペラを聴くほどハマっていたんです。好きが高じて、モーツァルトやオペラのコンピレーションアルバムを出したことも。BTSなどのポップミュージックも好きだけど、バレエを習い始めてからクラシックやオペラを改めて聴くようになって、旋律の美しさやスケールの大きさに魅了されています。
――クラシックやオペラは日常で耳にする機会が少なく、敷居が高いイメージもあります。
かしこまって聴く必要はないと思うんです。むしろ日常の忙しさに追われているときこそ、オペラやクラシックを聴くのがおすすめ。ドラマティックな世界に思い切り浸ることで、日常から束の間エスケープできて、忙しない心がふっと落ち着きます。私は集中して作業しなければいけない時は無音がいいのだけれど、ちょっとした家事や自分のメイクをするときはオペラやクラシックをかけるのが好き。気分も動作も優雅になりますよ。自分の気分をコントロールする小道具の一つとして音楽を活用するといいんじゃないかしら。日常って何かと忙しいから、意識的にゆったりとした音楽を聴いて心を落ち着かせたいですね。
音楽の世界に没頭することがリフレッシュになる
――普段はどんな方法で音楽を聴いていますか?
最近は、もっぱらYouTubeです。おすすめが次々に出てくるから、いろいろな演奏家や楽曲を知ることができるのがいいですね。演奏家は、ヴァイオリニストのHIMARIさん、ピアニストの辻井伸幸さんやフジコ・ヘミングウェイさん、作曲家は、モーツァルトやドビュッシー、リストが好き。楽曲は「月の光」や「ラ・カンパネラ」が好きで、聴くたびにうっとりしてしまいます。
――60歳でバレエを始めてから、音楽の聴き方は変わりましたか?
バレエは音楽に合わせて踊らなければならないので、集中して音を聴くようになりました。とても難しいし、肉体的にもハードだけど(苦笑)、音楽の世界に没頭して踊るのがとても愉しいんです。バレエと並行して、子どもの頃に習っていたピアノも大人になってから再開しました。電子ピアノを下田の家に置いているので週末しか弾けないのだけど、わずかな時間でも曲の世界に入り込める瞬間があるとリフレッシュできます。誰かと比較せず、のんびりマイペースに上達できるのが大人の趣味の良さですよね。
指先まで美しく。意識を高めて理想に近づきたい
――バレエを始めて一番変化したことはなんでしょうか?
手つきをやわらかく、指先まで美しくすることを意識するようになりました。日常の動作全てというのは難しいけれど、少し意識するだけで見え方が全然違うので奥深いですね。実はヘアメイクの仕事をしていた頃「藤原さんの手の動きって本当にきれいですね」って言っていただくことが多かったの。それは無駄な動きがないからだと思うんです。以前習っていた茶道や華道もそうだし、芸術全般に通じることかもしれませんが、やっぱり無駄のないものは美しいと思います。
――無駄を削ぎ落とすのは、意外と難しいことですよね。
無駄を削ぎ落とすのに努力を要するのは、やっぱりそこに美しさや真髄があるからではないかしら。逆に、コツコツ努力を重ねていけば少しずつ理想に近づいていけると思うんです。これからも大好きな音楽を楽しみながら、無駄のない美しさを追い求めていきたいです。バレエもピアノも無駄な動きばかりしているので、頑張りま〜す(笑)。