大人の色気、夏の最適解。
いつもより少し艶のあるメイクやファッションでナイトアウトやバカンスを楽しみたいバカンスシーズン。大人の女性の色気について、藤原美智子が語ります。

大人の色気に必要なのは、本物の恥じらいと自信
――美智子さんは大人の色気についてどう考えていますか?
色気には、恥じらいが必要じゃないかなと思っているの。恥じらいには憂いがあるので、「この人のことをもっと知りたい」とか「かばってあげたい」という気持ちになるんじゃないかしら。ただ、若い女性はあざとく恥じらってもかわいいけれど、大人の場合は厚かましく思われてしまうだけ(笑)。大人の恥じらいって、広く物事を知っているからこその「私はまだまだ」という人間としての謙虚さだと思うの。なんでも知っている、なんでもできるという傲慢さが出てしまうと、いくら外見を色っぽく見せても威圧的に見えてしまうから気をつけたいですね。
――なるほど。深いですね。
そして、もう一つ、大人の色気に必要なエッセンスがあって、それは自信。内に秘めるような静かな自信と言えばいいかしら。単に自信があるだけでは威圧的なおばさんになってしまうし、恥じらいだけではどこか薄っぺらくて奥深さがない。本物の恥じらいと本物の自信を兼ね備えている人に、大人の色気が醸し出るようにと思います。恥じらいと自信は一見すると両極端に感じるけれど、だからこそ色気は生まれるのだと思いますね。
色気は目尻に託して、引き算のメイクを
――ヘアメイクでは、そうした大人の色気をどんなふうに表現するのがいいでしょうか?
やってダメなことから言うと、皆さんわかりやすいかなと思うのだけれど、まず、若い女性の間で流行っているような、もみあげや襟足の後毛を出すスタイルはやめた方が無難。大人の女性が真似してしまうとあざとく見えたり、疲れた印象に見えたりしてしまうだけなので、気をつけてくださいね。
――メイクのポイントはどこでしょうか?
大人の色気メイクのポイントはアイライン。リキッドライナーで目尻のハネをいつもよりちょっと長めにして、目尻側にポイントを作るの。夏は肌の質感が素肌っぽくなるので、そこにあえて長めのアイラインを合わせると色っぽく見えるし、意外と夏の日差しに映えるんです。アイラインのハネに合わせてマスカラも目尻側のまつげをちょっと長めにすると、ラインが程よく目元になじむし、色っぽさも増します。肌はツヤのある感じに仕上げるのがマスト。マットな肌にしてしまうと暑苦しくなってしまうので気をつけて。
――アイシャドウやリップの色味も悩ましいです。
アイシャドウやリップは色味が強いと暑苦しく、野暮ったく見えてしまうので、ちょっと抜け感のあるヌーディな色味がおすすめ。その方がアイラインも引き立たちます。色気は目尻に託して、他は引き算してみてください。大人の色気に「あざとさ」や「いかにも」は必要なし。真正面から狙うのではなく、内側からにじみ出るような色気にこそ、大人の知性と品性が感じられると思います。

肌は単に出すよりも、あえて隠すことで色気が滲む
――ファッションで気をつけるべきは?
肌見せのバランスかしら。スタイルに自信のある方は考えなくてもいいと思いますが、年齢を重ねると体型にどうしても貫禄がついてくるので、そう見えない工夫は必要。例えば暑くなってくるとノースリーブを着たくなりますが、たくましい二の腕を出してしまうと色気とは遠のいてしまうので、注意が必要かなと思います。
――二の腕、お腹周り、膝周りは隠したい(苦笑)。でも暑苦しく見えるのも避けたいところです。
二の腕は袖丈や羽織でちょっとカバーする、気になるお腹周りは体が少し泳ぐぐらいのサイズにする、膝小僧の上の肉が気になる人は膝が隠れるスカート丈にするとかの工夫が必要。気になるところを隠すぶん、素材は透け感や艶感のあるものを選ぶといいかもしれませんね。肌は単に出せばいいものじゃなくて、あえてちょっと隠す。そうした奥ゆかしさに日本人の色気って滲み出るのではないかしら。それに人間は本能的に隠されているものを見てみたいと思う生き物ですものね。
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Photo:Sachiko Horasawa Text:Sachiyo Kamata