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藤原美智子が語る、 藤原美智子という人のこれまでとこれから <前編>

藤原美智子が語る、 藤原美智子という人のこれまでとこれから <前編>

 

このコラムでは、藤原美智子という人を作りあげたさまざまなエッセンスにフォーカス。唯一無二の輝きを放ち続ける藤原美智子さんは、どんなことを考え、感じてきたのか?その魅力に迫ります。

 

 

人生におけるふたつの転機

 

──藤原さんの幼少期はどんなふうでしたか?

色々な習い事をしている子どもでした。ピアノ、日本舞踊、そろばん、習字……たくさんやったけれど、私は少し要領のいいところがあって、そんなに頑張らなくてもなんとなくできてしまう、ということが多くて。そこで気が済んでしまうせいなのか、夢中になれるものはなかったですね。「これがしたい!」という夢もなく、なんとなく実家の美容室を継ぐのかなぁ、と思っていました。

 

──ところが、結局はそうならなかった。

親に言われるがまま、美容学校へ行き、いよいよ卒業して家業を継ぐ……という段になって、たまたま開いた週刊誌のページに、のちの私の先生となる方のアシスタント募集の記事を発見。それまで、ヘア&メイクアップアーティストという職業があるなんて知らなかったのだけど、何かひらめくものがあってすぐに電話したの。

 

──その電話が運命を変えたんですね。

最初の私の転機と言えますね。次の転機は、34歳で事務所ラ・ドンナを構えたとき。33歳の年越し、除夜の鐘を聴きながら「責任のある人生を体験してみたい」と思ったの。「そのためには事務所をつくってみよう!」と。とはいえ、当時の所属事務所には反対されるかもと思いながら、そのことを話してみたら「藤原さんは絶対にそのほうがいい」と言っていただけて。あら、じゃあやるしかないか(笑)、と動き始めたんです。

 

思った方向に、人生は進んでいくもの

 

──その後さらに大活躍されていくわけですが、特に夢を持っていなかった幼少期には、こんな人生になるとはとても想像していなかったでしょうね。

34歳のときに「どうせ独立するなら、事務所はこのくらいの広さを借りて、テレビや新聞にも出て」などとメモに書いたんです。そのことをすっかり忘れていたのですが、先日そのメモが出てきて、当時は大きな夢だったけれど、気づけばすべてを達成していました。

 

──きちんと未来を見据えていらした。

人はやはり、思い描いた方向、意識を向けている方向に進んでいくものなんじゃないかしら。引き寄せの法則、あれは本当だ思うの。私はこれまで直感に従って生きてきたほうだけれど、思いつきで行動しているわけではなくて、何かを決断するときは、ずっとそれについて無意識下で考えているから、直感やひらめきとして出てくるのはないかなって。アシスタント募集の電話も、ラ・ドンナの設立もそうだったのだと思います。

  

──そして2022419日をもって、ヘア&メイクアップアーティストの活動に終止符を打つと発表されましたね。

これは数年前からぼんやりと思っていたこと。責任のある人生から、もう一度身軽なフリーになりたい、もっと多くの人の生き方をサポートするような活動をしたい、と。それが、あるタイミングで降りてきたんです。もちろん事務所を閉じることは私一人だけのことでないので悩みましたが、ヘアメイクに終止符を打つことに一瞬の迷いもありませんでした。

 

今の決断が正しかったと、未来をかけて証明していく

 

──これからの展望である「生き方のサポート」とはどのようなものですか?MICHIKO.LIFEもまさにそのひとつですよね?

「私はこれでいいんだ」という自信や「こんな風に考えればいいのね」という気づきは、その人の人生をポジティブに変えてくれるものだと思っています。これから私はビューティ・ライフスタイルデザイナーとして、その気づきの後押しをしていきたいと考えています。どんなやり方で?というのはこれからもっと考えていかなければならないのだけれど。

 

──藤原さんはこれまでも、多くの人たちに生き方のヒントを提案されてきていますよね?生き方というテーマで、書籍もたくさん書かれていますし。

昔から、それが本当にやりたいことなんだと思います。結局、私にとってのヘア&メイクは、誰かに自信や気づきを持ってもらうためのひとつの小道具なんです。ヘア&メイクの面白いところは、ナチュラル、エレガント、マニッシュ、グラマラスなど、さまざまなイメージを具体的に提案できること。イメージを作り上げるのが楽しかったの。でも、それはあくまでも生き方のヒントを掴むための手段であって、それを受けて誰かが抱えている悩みを解決する糸口を見つけていく──そのサポートができることこそが醍醐味だったんです。

 

──自分らしい美しさを見つけていく糸口、ですね。

そう。そして、人にアドバイスができるためには、私もこれからの未来を自分の手で作っていかなければならない。いつかの未来に、あのときヘア&メイクアップアーティストの活動に終止符を打ったから、今こうしてこういうことができています、と語れるように。過去がその人の人生にどういった影響をもたらすかは、その先の未来が作るものだから。自分を鼓舞していくことで、自分らしさや自尊心は育まれていくのだと思います。

……後編では、美智子さんの唯一無二とも言える「生き方のヒント」や「哲学」について伺っていきます。

INTERVIEW & TEXT : AYANA
PHOTOGRAPHY : Yoshihiro Miyagawa

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